こんにちは。

岡安です。

ここのところマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)として使えるZOHOのサービスに関するテクニカルな内容の記事が多かったので、少し前段の話として、中小企業にMAツールを導入した場合、費用や労力に対してその効果・メリットを十分に得ることができるのか(割に合うのか)、について考えてみました。

 

マーケティングオートメーションツールの一般的な導入効果

まずは、一般的にいわれているMAツールの導入効果(具体的なレベル)をざっと挙げてみます。

  1. マーケティング活動(Web広告やサイト更新、メール配信、イベント対応等)を迅速・効率的に行える
  2. 少人数でたくさんのキャンペーンを実施し、PDCAを回すことができる
  3. 自動化によって、マーケターが企画や分析など付加価値の高い業務に専念できる
  4. メールへの反応やWeb上の行動により見込み客・既存顧客の潜在ニーズがわかる
  5. 顧客の行動と属性情報によって、スコアリングを行い顧客のセグメント化(注1)ができる
  6. 顧客セグメントに応じたOne-to-One対応(注2)ができる
  7. 顧客化の可能性が高い見込み客やアクティブな既存顧客に集中してマーケティング活動や営業活動ができる
  8. すぐに購入に至らない見込み客を顧客に育てることができる
  9. さまざまなメディア上やオフラインで実施されるマーケティング活動や購買行動の結果を顧客に紐づけて一元管理できる
  10. 各キャンペーン施策の効果をマーケティング・営業活動全体を通して計測することができる

上記のような効果・メリットが得られるので、MAツールの導入を検討する訳ですね。

  • 注1:顧客の属性情報などによって、グループ分けを行うこと。静的な属性情報以外に行動履歴データなどを加えることで、より精度を高めることができる。
  • 注2:顧客一人一人の状況などによってメール配信の内容やWeb上で表示する内容をカスタマイズすること。実際には、完全に一人一人内容を変えるわけではなく、セグメントごとに表示内容を変えるといったことが行われる。

 

一般的な導入効果の分類

個別の説明を行っていると、ブログ記事としては長くなりすぎますので、詳細は省きますが、各メリットをツールの機能面からざっくり分類してみると、

A.自動化によるメリット

  1. マーケティング活動(Web広告やサイト更新、メール配信、イベント対応等)を迅速・効率的に行える
  2. 少人数でたくさんのキャンペーンを実施し、PDCAを回すことができる
  3. 自動化によって、マーケターが企画や分析など付加価値の高い業務に専念できる

B.顧客行動の追跡とスコアリングによるメリット

  1. メールへの反応やWeb上の行動により見込み客・既存顧客の潜在ニーズがわかる
  2. 顧客の行動と属性情報によって、スコアリングを行い顧客のセグメント化ができる
  3. 顧客セグメントに応じたOne-to-One対応(広告配信・メール配信・Web表示・営業コール等)ができる
  4. 顧客化の可能性が高い見込み客やアクティブな既存顧客に集中してマーケティング活動や営業活動ができる
  5. すぐに購入に至らない見込み客を顧客に育てることができる

C.データが統合できることによるメリット

  1. さまざまなメディア上やオフラインで実施されるマーケティング活動や購買行動の結果を顧客に紐づけて一元管理できる
  2. 各キャンペーン施策の効果をマーケティング・営業活動全体を通して計測することができる

といった分類が考えられます。(実際には、それぞれの機能が関わりあっていますので、ちょっと無理やりではありますが、単純化するための分類です)

 

「A.自動化によるメリット」は、すでにマーケティング活動を頻繁に行っている企業が受けられるメリットといえます。

例えば、兼業のマーケティング担当者が一人ですべてを回していて、なかなか手が回っていないが、やったら効果が出る可能性が高い施策が見えているような場合に、意味のあるメリットです。

 

「B.顧客行動の追跡と履歴の保存によるメリット」は、今まで実施できていなかったことの実現によって、マーケティング活動の精度を上げられるメリットといえます。

例えば、メールマーケティングを実施しているが、反応率が悪いので、属性情報以外の行動データを使ったセグメント化を行って反応率を上げたい、といった場合に意味のあるメリットです。

 

「C.データが統合できることによるメリット」は、様々な種類の施策を並行して行っている場合のメリットです。

メール配信がきっかけでWebサイトに訪れた顧客が商品を閲覧し、店舗で商品を購入したといった顧客行動が想定されたり、色々なチャネルによって顧客と接触しているような場合に意味のあるメリットです。

 

すべてのメリットを最初から享受できることは難しい

ここまでMAツールのメリットと分類をまとめてみましたが、多くのメリットがすでにある程度マーケティング活動を実施している場合に有効であることがお分かりいただけるかと思います。

つまり多くの中小企業が置かれているであろう、「今からマーケティングを本格的に始めたい」、といった段階ではMAツールは機能としても、価格面(月額20万とか)でもオーバースペックである可能性が高く、その効果を最大限に得ることは難しいというのが結論です。

将来を見越して、MAツールを入れるという選択肢もありですが、最終的にすべての機能をフルに使えるようになったとしても、そこまでに数年かかってしまう可能性もあるため、実際には、ちょっと気のきいたメールマーケティングツールがあれば十分な状況で、必要のない機能に対する費用を払い続けるということになってしまいます。(多くのCRMやSFA導入の失敗事例がそうであったようにです)

もちろんすでに色々なマーケティング活動を実施することで効果が出ていて、省力化や統合された環境が必要な状況があれば、中小企業でも価格に見合った効果を得られる可能性はあります。

ただし、MAツールを使いこなすには、マーケティングシナリオやスコアリング方法を検討したり、シナリオを実行するための十分なコンテンツが必要であったりと、多くの手間がかかりますので、やはり特定の商品やシナリオ、一部の機能に限定して、使い始めるというのが現実的でしょう。

 

最初の一歩は顧客データの管理から

つまり、これからマーケティングを行おうとしている中小企業では、統合された高価な環境を手に入れる前に、その前段階として色々とやるべきことがあるということです。

例えば、メールマーケティングにおいて、全員に一律の内容のメールしか送信できていない状況であれば、トータルの売上金額や購入回数、継続期間、来店頻度などわかる範囲でセグメント化を行って、配信内容を分けるといった比較的容易にできる施策を行うといったことが考えられます。(十分なリストがある場合)

メールの配信はあくまで一例ですので、それが電子メールではなくダイレクトメールの郵送などでもよいのですが、このような施策を実施していくためには、まずは顧客データを管理することが必須です。

顧客データが利用しやすい形で管理され、年齢や性別などの属性情報、購入商品やトータルの売上金額など、やろうと思えば確実に取得できるデータがきちんと入っているデータベースが何らかの形でなければ、初期段階でも効果的なマーケティング活動は実施できません。

データベースといっても、難しく考える必要はありません。

件数によってはExcelで十分ですし、Kintoneなどの汎用的なWebデータベースも使えます。あるいは、比較的安価なCRMツールである、ZOHO CRMなども候補になり得ます。

顧客データがしっかり管理できるようになれば、MAツールが持っているWeb上の行動を追跡・蓄積できるような機能も活用できるようになってきますが、この段階でもMAツール全体でみると機能・価格ともにオーバースペックであることに変わりはありません。

中小企業やマーケティング予算があまり取れない企業において、CRMやメールマーケティング用のツール、Webトラッキングツールなどを段階的に導入して、十分に活かせるようになってから、統合された環境であるMAツールの導入を検討するというのが、投資に見合った効果を得られる確率が高い方法といえるでしょう。