小さな農家が強く逞しく、きちんと稼ぐ農業×IT【参加レポート】

こんにちは。

先週の連続出張の長距離移動で若干疲れ気味の岡安です。

今朝起きてFaceebookを見ると、「2015年を振り返りましょう」などというメッセージが出ており、多方面から年末で坊主が走っている感を感じさせられますが、皆さんいかがおすごしでしょうか?

さて、昨日は、個人的に興味・関心を持っている分野どストライクの「農業×IT」のセミナーに参加してきましたので、参加レポートをざっと書き上げました。

参加された方は、自分とは違う視点のお話として楽しんでいただき、興味を持ちながらも残念ながら参加できなかったり、開催前に気づかなかった方々などは、一部ではりますがその内容と雰囲気を味わっていただければと思います。

例によって記事が長めになってしまったので、多少お時間のある時にお読みいただくことを推奨します。

昨日参加したセミナーは、こちらです↓

「小さな農家が強く逞しく、きちんと稼ぐ農業×IT」
開催日時:2015年12月16日(水)18:30~21:00
内容:
①「メール不要」で農業のシンプルIT革命!  by ChatWork株式会社 働き方エバンジェリスト 河野智英子さん
②クラウドでもたらされた業務改善と家庭平和 by ゾーホージャパン Zoho事業 リーダー 松本暁義さん with 三つ豆ファーム 代表 山木 幸介さん
③クラウドとIoTで実現する野菜を数倍高く売るための収穫予測 by サイボウズNKアグリ/農家 中村龍太さん

http://www.opnlab.com/events/nogyocloud

今回のクラウド3社が共同でお話しするというレアなセミナーが実現したのは、opnlabの小林さんがフィクサーとして色々動いたからっぽいです。
自称変人コレクターの小林さんは、常にとんがったセミナーを主催したり、黒幕とした動いたりしていますので、opnlabは要チェックです。

agricloud_20151216

 

シャレオツ過ぎるサイボウズ社のセミナールーム

今回のセミナーで、まず度肝を抜かれるのは、サイボウズ社さんのセミナールーム。

写真をあまりとっていないので、興味のある方はこちらを。(今回使われたのは、「サイボウズ バル」と呼ばれている記事中ほどのスペースでした)

建物から、入館からエントランスから何もかも最新かつおしゃれといった趣き。

私は2回目でしたが、この空間を見に来るだけでも、サイボウズさん関連のセミナーに参加してもよいかもです。

普通は、セミナーというと長机と折りたたみ椅子みたいなイメージですが、みんなが一杯ひっかけに来たみたいなくだけた雰囲気で、セミナー内容にも期待が高まります。

また、通常はIT系のセミナーだと下手をするとIT系の同業他社の参加が半分以上なんてこともよくあるのですが、今回は農業関係者の参加が8割程度とのことで、参加者の熱量的な意味でもかなり違った雰囲気を感じました。

 

美し過ぎるChatWorkの河野さんのお話

opnlabの小林さんの司会で、まずはChatWorkさんからの【「メール不要」で農業のシンプルIT革命!】のお話が始まりました。

そこで登壇したのが、農業ともITとも一見無縁そうなChatWorkの河野女史。実は、ご実家の家庭野菜の収穫担当ということで、農業にも興味をお持ちとのこと。

ここでのお話は、

  • ChatWorkの説明
  • カガヤキ農園」での導入事例
    課題である生産部と販売部の連携・様々な形態で働いているスタッフ間の情報共有をどのように解決したのか
    どんな効果があったのか

といった感じでした。

他の事例などにも通じるのですが、本パートの事例は、一般の企業と同様もしくはそれ以上に農業においても情報共有やコミュニケーションという要素が非常に重要であることを伺わせるような内容でした。

実際に農業というビジネスで利益を上げていくことを突き詰めて考えていくとその辺りにぶち当たるのですが、農業においては、生産(栽培)側と販売側の連携が重要になってきます。(農協に卸すだけではなく、農園が積極的に販売先を開拓している場合が特にですね)

生産側はもちろんできる限りのことをしますが、天候などに左右され思った通りの時期に予定通りの収穫量を得るというのが難しいものでもあります。

そういった生産の状況をリアルタイムに(場合によっては予測して)販売先に対していかに素早くアクションを取ることができるのかが、組織全体の収益や顧客満足度の向上に非常に重要である訳です。

ChatWorkというサービスを使うことで、メールのわずらわしさをなくし、畑からでも簡単に情報共有ができるという仕組みを構築し、組織力を向上させるということができるという事例をご紹介いただきました。

 

カレー推しすぎるZOHOの松本さんとほのぼの過ぎる三つ豆ファームの山木さんのお話

次に登壇したのは、ZOHOの松本さんと、ZOHOを導入して夫婦仲が改善(!)された三つ豆ファームの山木さん。

松本さんは、ZOHOがインド初のサービスであることから、セミナーでは必ずカレーを絡めたお話をされるのですが、期待通り今回もカレー推し。インドから送られてきた意味不明な写真なども紹介し、場の雰囲気をさらに和ませます。

ここでのお話は、

  • ZOHO(主にクリエイター)の説明
    ZOHOクリエイターを入出力のハブとして、また計算エンジンとしての利用などの説明
  • 「三つ豆ファーム」での導入事例
    奥さんに丸投げだった事務手続きをクラウドの導入によって、効率化し結果として家庭円満に
    さらに事務効率化で農業経営にも前向きになれたというお話

といった感じでした。

久松農園の久松さんがよくお話しされている「生産性の向上は、生産現場よりも事務手続きの方が投資対効果が大きい」というお話を松本さんが紹介され、それを実際に体現した山木さんが事例をお話しするという構成です。

三つ豆ファームさんでは、以前は煩雑な事務作業を奥様にほぼ丸投げしていたということで、日本の小規模農家の方々はそいった形態をとっているところが結構多いのではないかと思います。

Excelを使って、1件1件のお客様向けに納品書やら請求書などを手動で印刷していく業務というのは、作業量も多いですし、決して楽しい仕事ではないので、モチベーションを維持することは難しく、さらにミスをすると即クレームにつながるというかなりストレスフルなお仕事です。

農家を営んでいる方の奥様が事務作業を担当している場合、旦那様のお仕事に理解を示しながらも、こんなことを思っているのではないかということが容易に想像できます。

「あの人はいいわよね。自分がやりたい農業をやって、土や植物と触れ合って、そりゃ楽しいでしょうよ。それに対して私は何なのかしら。家事や育児をしながら毎日のようにPCとにらめっこ。ミスをすればお客さんに平謝り。外に出かけることも出来ず、華やかだった独身の時のOL時代が懐かしくてしょうがないわよ。。。またあの人は農作業に使った土だらけの服を脱ぎっぱなしにして!今日こそは文句言ってやらないと気が済まないわ!『ちょっとあなた、そこに座りなさい!!!』」

とまぁ、これは私の想像というか妄想ですが、どこの農家さんでも結構当たらずも遠からずなのではないでしょうか。

実際に山木さんの農園およびご家庭では、事務が効率化したことにより事務手続きは山木さんの担当になり、空いた時間を使って奥様が畑に出られるようになって、奥様のストレスが激減して家庭円満が実現でき、さらに販売先が増えても煩雑な事務が増えることがないという効果も出るため、農業経営全般に対して前向きな意欲もわいてきたとうお話しでした。

プライベートでもビジネス上でも大切なパートナーである奥様を大事にする意味でも、事務効率化は大切だよなと実感させられるお話ですね。

そして、奥様に限らず付加価値を生まない事務作業をちゃっちゃと終わらせて、畑に出ましょうということで、本好きな松本さんらしく、寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」をもじって、

  • (無駄な)事務を捨てよ畑へ出よう
  • (無駄な)事務を捨てよ家にいよう

といった締めくくりできれいにオチがつきました。

 

何者かわからなさ過ぎるサイボウズ/NKアグリの中村さんのお話

最後に登壇したのが、自らを「複業家」と名乗るサイボウズ/NKアグリ/農家など多くの仕事を様々な立場で手掛ける中村さん。

中村さんは元マイクロソフトのIT畑の方ですが、その後サイボウズ社に入社、さらに、野菜工場で付加価値の高いレタスの生産販売を行っているNKアグリでもお仕事し、自身も農家として一般の人参には殆ど無いリコピンを豊富に含んだ人参の生産を手掛けているマルチタレント。

一言で、どんな人なのかというのを説明するのは正直難しい方です。ただし、NKアグリの野菜工場をドローンで空撮した映像から始めるあたり、かなりの新し物好きの方といえそうな気がします。

その中村さんからは、

  • kintoneでのアプリ開発のリアルタイムデモ
  • センサーで取得した情報をkintoneに連携し、収穫予測を行う事例

などをお話しいただきました。

農家におけるIT化、クラウド化を進める際に、大きなネックとなるのが、農業に関わる方のITリテラシーです。

Excelを使うのもなかなか厳しいといった方も多い中で、自分たちでIT化を進めるのは難しいのが現実といえます。

そのような状況ではありますが、kitoneはユーザ自身がGUIベースでアプリを構築できる開発基盤であり、スタッフの中でExcelを使えるレベルの方がいれば、クラウド化や運用しながらシステム改善を進めることができるサービスであるとの説明でした。

NKアグリの社長である三原さんからは、年配の人にありがちなカタカナ言葉を覚えられないような方々(「サイボウズ」といえず「サイボー」と覚えてしまったりされているようです)が中心の会社で、ほぼサポートなしで自社内で40ものアプリを作って運用ができてしまっているといったお話も飛び出してきていました。

kintoneは実際に触ったこともありますが、確かにExcelをある程度使得る人であれば、簡単にアプリ(イメージとしては1アプリがExcelの1シートのレベル)を作れることは間違いないと思います。

さらに、データを使った収穫予測のお話が出てきましたが、それはどうやって精度を高めるのといった話ではなく、この予測データをいかにコミュニケーションのツールとして活用するかというお話で、これも個人的にはすごく納得できるお話しでした。

データ分析に関わったことがある立場の人間としては、中村さんのおっしゃる通り、データ分析の結果を何につかって、どんなアクションを起こすかが重要であると考えています。

おそらく中村さんも同様の立場で、収穫のタイミングを予測したデータを使って、生産側の担当者と以下にコミュニケーションをとるかが重要であり、こういったツールがあることで、全国に点在するITに疑いの目を持つようなベテラン生産者とも良好なコミュニケーションが取れたり、需要と供給のギャップを見極めて、迅速な先手を打った対応ができるようになっている、という説得力の高いお話をされていました。

 

盛り上がり過ぎたトークセッション・質疑応答と交歓会

その後各セッションを担当した方々が同時に登壇し、トークセッションという形で、それぞれの立場のご意見を伺うことができました。

かなり多くの質問(高くないITリテラシーへの対応やIoTを実現するためにどの程度の予算が必要か等)が出てまとめきれない部分がありますので、記事とはしませんが、興味をある方にはエッセンスはお伝えできると思いますので、お気軽にお声掛けください。

トークセッションの後には、登壇者や参加者が参加して、リコピン人参や三つ豆ファームさんが持参されたしょうがジャムとクラッカーなどをいただきながら、活発な情報交換が行われました。

参加者の多くが実際に農業を営まれている方で、お話を聞くと、事務効率化や収穫予測、コミュニケーションなどの課題を持っていることが伺える現場の声をたくさんことができたのが、個人的な収穫です。

名刺交換などもたくさんさせていただいたので、機会があれば、何らかの形で農家の方々をご支援できればと考えています。

遠方の方などは後ろ髪をひかれながら先に帰られていましたが、結構な人数が予定時間を大幅に超えた22時くらいまでバルに残り、思い思いのお話をされていたのが印象的でした。

こういった光景は通常のITセミナーではなかなか見られないものですから、やはり実際の現場の方々がたくさん参加されたセミナーならではの光景でしょう。

 

まとめになっていなさ過ぎるまとめ

それなりの文章量を一気に書き上げてちゃんとまとめる気力がなくなってしまいました。。

まとめというほどではないですが、個人的に感じたことは、

  • 多くの小規模・中規模農家の方が事務効率化や生産予測、コミュニケーションなどの同じ課題を抱えている
  • 様々なクラウドサービスをうまく活用できれば、そういった課題を解決できる可能性は高い
  • ITリテラシーはなくてもできる部分もあるが、全体のコーディネートや運用面も考慮したサポートなどで、自分のような立場の人間が農家の方々をサポートできる余地が十分にある
  • コンサルタントとして生産から販売まで一気通貫でサポートできる可能性があるビジネスというのは、面白い分野といえる

といったことでした。

またこういった機会があれば参加したいですし、登壇して皆様に有益な情報を提供していけるようになればと思います。

長文失礼いたしました。

ではでは。

この記事を書いた人

岡安裕一