CRMとSFAの違いとは?

こんにちは。

12月に入り、来年の計画なども立て始めている岡安です。

今年も早くも残り一ヶ月となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

最近CRMやSFAのクラウドシステム導入や活用支援といったお仕事が増えてきています。

来年も引き続きこの傾向は続きそうなのでですが、中小企業の担当者や経営者の方にご相談を受けた際によく聞かれるのが、「CRMとSFAって何が違うんですか?」「自社にはどちらを導入すればよいのでしょうか?」という質問です。

自身の考えの整理も兼ねて、CRMとSFAの違いについてまとめてみましたので、参考にしてみてください。

 

用語の定義

まずは、その用語の定義から見ていきましょう。

CRMは、”Customer Relationship Management”を略した言葉で、日本語では「顧客関係管理」とそのまま訳されます。

つまり顧客との関係を管理していくということなのですが、もう少し説明を加えると、

「企業(店舗)と顧客とのよい関係を継続的なものとすることで、顧客満足度を向上させ、企業業績の向上に役立てるための手法」

といったところでしょうか。

CRM自体はシステムそのもののことではなく、顧客とのよい関係を気づくための手法なのですが、一般的にはCRMシステムのことをCRMと呼ぶことも多いようです。

この記事内では、CRMは主にCRMシステムのことを指すと考えてください。

 

次にSFAです。

SFAは、”Sales Force Automation”を訳した言葉で、日本語では、「営業支援システム」と訳されます。

CRMとは違い、あまりSFAシステムといった呼ばれ方はしません。多くの日本語訳やその成り立ちから考えて、システム自体を指している言葉と考えられます。

オートメーションという言葉が含まれますので、自動化・効率化による営業活動の支援ということが中心といえますが、実際の導入の場面では、営業プロセスを見える化し、最適化していくことが重要となりますので、わたしなりの説明を加えると、

「顧客情報や商談プロセス等の営業活動に関わる情報をデータ化して活用し、組織的に営業の生産性を上げ、効率化・最適化を図るためのシステム」

といった内容となります。

CRMの概念は、SFAと重複する部分も多く、考え方としてはCRMがより大きな概念で、SFAはCRMの一部という考え方もできると思います。

また、活用のされ方次第の部分もありますが、CRMの方が顧客満足度という顧客との関係性を中心とした顧客視点寄りの考え方を持ち、SFAは企業内部(プロセス)を向いている考え方であるともいえます。

 

CRMとSFAの具体的な違い

では、CRMとSFAには具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

一般的な区分けとしては、BtoC(企業と個人消費者間の商取引)を中心としたビジネスに活用されるのがCRMで、BtoB(企業と企業間の商取引)を中心としたビジネスに活用されるのが、SFAという風に説明されます。

実際にSFAと呼ばれるシステムやサービスのほとんどが、BtoBビジネスを展開する企業向けに作られているといって間違いありません。

そのため、CRMとSFAの違いを知るには、BtoCビジネスとBtoBビジネスの違いがわかればおおよそ理解できるといえます。

BtoCとBtoBでは、顧客特性や商材、購買プロセスの違いなどによって、企業活動を最適化していくという観点では、管理すべき項目が異なり、結果システム上の機能にも違いが出てきます。

具体的に違いを図示するとこんなイメージです。

CRMdiffSFA1

 

BtoC取引とBtoB取引の違いという観点で、CRMとSFAの違いを説明していきましょう。

1.顧客数による違い
BtoCはBtoBと比べて顧客数が多いのが一般的です。そのため、顧客属性などを元にセグメント化(カテゴリ化)して、セグメントごとにアクションを変えて対応していくといったことが必要になります。
BtoBでは、顧客数が少なく大口顧客中心の場合には、数社~十数社程度の取引先しかないといったこともあり得ます。

2.商品・商材の単価による違い
BtoCは1商品あたりの単価が安いものが一般的です。
BtoBでは、数十万~数千万など、比較的単価が大きかったり、単価の安いものでも一回当たりの取引量が多く、取引あたりの金額が高額になることがほとんどです。

3.意思決定プロセスによる違い
BtoCでは、通常対応すべき顧客と意思決定者は同一人物であり、購入を決定できる権限を持った人と直接話すことができます。
それに対し、BtoBでは、自社の営業担当が対応すべき先方の担当者と決済権限者が異なり、組織として意思決定が行われます。そのため、個人担当者だけでなく、組織や組織内の関係者(特に意思決定者)を把握・管理する必要があります。

4.購買に必要な期間による違い
BtoCでは、購買までの期間は、早ければ即決、長くても数日以内となることがほとんどです。
BtoBでは、高額な商品を組織的な意思決定によって決定することになるため、購買までに長い期間を要します。

5.担当者の有無による違い
BtoCでは、顧客数が多く、様々なチャネルでのコンタクトが行われるため、個別に担当者をつけることは現実的ではありません。
BtoBでは、長期に渡る営業プロセスに対し継続的な情報提供などを行う必要があり、商談あたりの金額も高く件数も少ないため、コストをかけて担当者をつけることが一般的です。

6.顧客対応による違い
BtoCでは、多くの顧客対応は、問合せ時や来店時の対応など、多くの活動が受動的なものとなります。そのため、CRMを使った具体的なアクションは、来店などを促すためのメールを配信するなどのプロモーション活動が主体となります。
BtoBでは、個別に担当者がつくため、顧客の意思決定状況に応じてではありますが、訪問など能動的なアクションを起こすことがほとんどです。能動的なアクションによって、いかに顧客の意思決定プロセスを自社に有利に、かつ、素早く進めるのかが重要です。

 

自社ではCRMとSFAどちらを導入すればよいのか?

ここまで、BtoC取引とBtoB取引の相違点という観点で、CRMとSFAの違いについて説明してきました。

実際に、SFAかCRMかという選択をしなければならない状況になった場合どのように選べばいいかは何となくお分かりいただけるかと思います。

一番大きな指針は、自社のビジネスがBtoCとBtoBどちらなのかということですね。

SFAでは、通常BtoB取引を前提として、システム上の仕組みが作られています。

そのためSFAには、BtoB取引の特徴である組織や組織内の関係者、営業プロセスを管理するための仕組みが含まれており、BtoB取引を中心とした企業では、SFAを導入するというのが通常の選択となります。

ただし、BtoCの取引であっても、家屋・マンションや保険商品などは高額かつ検討期間が長く、個別に営業担当者がつくなどの特徴を持ちますので、BtoBに近いビジネスであるため、SFAもしくはSFA寄りの機能を持ったCRMシステムを導入するといったことも必要となる可能性があります。

逆に、BtoBビジネスでも、個人の担当者が一定のルールの元に決済を行い、小額の取引が繰り返されるような取引の場合(例:文房具など)はCRMに近い考え方や仕組みが必要な場合もありえるでしょう。

また、今まではBtoBが中心だった企業がBtoCに乗り出すといった事例も多くあるため、自社の将来的な取り組みなども含め検討するとよいでしょう。

 

CRMとSFAのボーダーラインがなくなりつつある

なお、現在市場で提供されているCRMやSFAのサービスやソフトウェアは、特に大手ベンダーの企業で買収などにより機能拡充が行われているため、明確な切り分けがなくなりつつあり、CRM/SFAツールであるという説明がされるサービスも多く存在します。

さらにマーケティングオートメーション機能なども含まれるなど、その機能は複雑化しつつあります。

最終的には自社で実現したいこととそれを実現する機能があるのかどうか、ということをCRM/SFAといわれるサービスカテゴリの中から選んでいく必要があるといえます。

中小企業の場合には、高額なオールインワンのサービスなどを選んでも活用しきれないことがほとんどですので、最初はシンプルに使用でき、後々に機能を追加したりライセンスをアップグレードできるサービスを選ぶのがよいでしょう。

 

また例によって長い記事になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?

これが正解とか唯一の考え方ということではありませんので、一つの参考となれば幸いです。

 

ではでは。

この記事を書いた人

岡安裕一