こんなWeb集客の提案に乗ってはいけない

こんにちは。

なんだか花粉症の症状が悪化しているような気がする岡安です。

今回は、先日とある方から聞いたとんでもないWeb集客手法に関するお話をさせていただきます。

こんな提案をする業者に騙されたりしないように気を付けてくださいね。

 

驚きの提案内容

先日、とある方から「電話営業をきっかけに提案を受けた業者からのWeb集客手法に関して相談させてほしい」というお話をいただきました。

実際にお伺いして、提案書を拝見しながら聞いたその内容は、

・Webでの集客を実現するために比較サイトを立ち上げる(比較サイトの運営元表示なし)
・比較サイト上で提案を受けた企業を1位にすれば比較サイトからの集客が安定して稼げる
・集客できた顧客は、他社との比較内容を読んだ上でサイトに訪問するので、コンバージョン率も高い
・提案金額はサイトの運営費も含め年間で約300万円(2年目以降は100万円/年くらい)

という驚きの内容。

上の提案内容を読んで、もし「インターネット広告などと比べて費用も妥当でなかなか悪くない提案じゃないですか」と思った方がいたら要注意です。

どういうことかというと、、

 

節子、それマーケティングやない。犯罪や。

ということなんです。

この提案のどこが問題かというと、特定の企業からお金をもらった広告であるにも関わらず、それを隠し、該当企業のサービスが良いものであるという誘導を行う、いわゆるステルスマーケティングというやつなんですね。

ステルスマーケティングは、字面としては一見かっこよく見えるかもしれませんが、一歩間違えば景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に違反する、れっきとした犯罪になりうる行為です。

景品表示法では、ガイドライン「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表しており、このガイドラインの中で、「口コミサイト」についても触れています。(この口コミサイトには、大規模な口コミサイトだけではなく、個人が運用しているブログなども含まれます)

口コミサイト(およびブログなど)においては、

「商品・サービスを提供する事業者が、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させることによって、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合」

には、景品表示法上の不当表示として問題となるとしています。

つまり、「比較サイト自体や口コミなどをでっちあげ、一般消費者をだます行為」は、当然ながらイケない行為ということです。

 

一番のリスクは法的リスクではなく、企業の信用を失うこと

先に景品表示法の話をしましたが、景品表示法に違反して罰則を受ける可能性は高くはありません。

実際には、先に行政からの勧告があり、それに従わなかった場合に刑事上の罰則を受けることになります。(民事として訴えられるリスクはあり)

では、法的に問題がなければよいのかといえば、もちろんそうではありません。

一番の問題は、企業の信用を著しく落としてしまう可能性があることです。

もし比較サイトをでっちあげたことが明るみに出たらどうなるでしょうか?

当然ながらその企業は大きく信用を失い、今後どのようなメッセージを伝えても一切信用されなくなります。

インターネットでいろいろな(ポジティブ・ネガティブ双方の)情報が長く残るこの時代においては、致命的なダメージになりうるといってもよいでしょう。

 

例え事実を掲載してもダメなものはダメ

こういった話をすると、

「でも掲載している情報が本当の口コミとか比較内容なら問題ないのでは?」

という質問を受けることがあります。

確かにガイドラインには、掲載した情報が「競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるもの」である場合に問題であるとうたっています。

単純に景品表示法やガイドラインを解釈すると、「記載内容が事実であり、誤認を引き起こすものでなければ問題ない」ということになりますが、広告であることを記載されていなければ、消費者から見て、この情報は「第三者の客観的な評価である」という誤った認識をさせる行為となりますので、胸を張って行える行為とは言えませんね。

法的にはグレーゾーンといえる可能性もありますが、企業の信用を守るという観点では行うべきではありません。

 

誰が発信している情報なのかをはっきりさせる

では、マーケティングにおいて法的にも信義的にも問題ない情報発信を行うにはどうすればよいのでしょうか?

これは、

・誰がこの情報を発信しているのか
・第三者がお金をもらって掲載しているのであれば、広告であること

を明記するということにつきます。

ここときちんとクリアしていないと、知らず知らずのうちに業者の提案に乗ったとしても、企業の信用を失うことになりますので、十分に気を付けましょう。

ちょっとしたことで炎上する時代です。

ステマではないのにステマだと認定されて余計な騒ぎを起こさないためにも、疑われるような行為は避けておきたいところです。

逆にネットで情報収集するような場合には、誰が何の目的で発信している情報なのかをきちんと見極めることが必要とも言えますね。

 

こんな提案をする業者はたくさんいるのか?

多くの事例を見てきたわけではありませんので、何とも言えませんが、少なくともWeb集客界隈では、こういった違法行為といえてしまう提案をしてくる業者は一定数いるようです。

最近は提案を受ける側も賢くなりつつあるので、ITリテラシーや法律知識があまりないような小さい企業を狙い撃ちしているのかもしれません。

今回相談を受けた件でいうと、さらに「提案後数日以内に決定してください」と結論を急がせることもしていたようです。

これは明らかに「問題がある手法であることを気づかれたくない」「気づかれる前に契約してしまいたい」という後ろ暗さを表す行為のように感じます。

もちろんちゃんとした事業者も多くいるので、必要以上に疑う必要はありませんが、自社や自社サービスを守るためにも、最低限の知識をもっておきましょう。

なんだかよさそうなんだけど、「変に急がせる」とか、「なんとなく怪しい」と感じたら、周りの信頼できる人に相談することをおススメします。

これは何についても言えることですが、「おいしい話は世の中には転がっていない。少なくともあなたの目の前に真っ先に転がってくることはない。」ということは肝に銘じておきたいところですね。

ではでは。

 

 

この記事を書いた人

岡安裕一