ポケモンGOをマーケティングに活かす方法を考えてみた(後編)

こんにちは。

レベル21になり、ゲットしたポケモンの種類は91種、ピカチュウもゲットした岡安です。

ピカチュウかわいい♡
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さて、前編では、ポケモンGOの現状やマーケティングの活用が注目されている理由などをまとめてみました。

読んでいない方は前編からどうぞ。
ポケモンGOをマーケティングに活かす方法を考えてみた(前編)

今回の後編では、現時点や将来的な視点でどんな形で活用できる可能性があるのかを、マーケティングの基礎の基礎、STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)をイメージして考えをまとめてみました。

 

ポケモンGOを活かす方法を考える前にプレイヤーのカテゴリーを考える

ポケモンGOのマーケティング活用という話になると、どう集客するかといった手段のお話になりがちですが、ここはマーケティングの基本に立ち返って、どんな顧客(=プレイヤー)が集客できるのか、という視点から考えてみましょう。

ポケモンGOのプレイヤーおよび非プレイヤーは、興味やプレイに割いている時間などをベースにざっくり分けると、こんなくくりになるのではないかと思います。

大カテゴリ 中カテゴリ 人物像
プレイヤー 超ヘビー 生活の中心がポケモンGOな人。
パートナーに「ポケモンと私どっちが大事なの?」と聞かれるレベル。
時間を無理にでも作ってポケモンをプレイ。
レアポケモンのためなら遠出もしちゃう。
なんだったら、仕事や普段の生活そっちのけで、課金もいとわない。
攻略法を調べるのはもちろんのこと、独自の攻略情報などを発信することもある。
ヘビー 生活にポケモンがかなり入り込んでいる。
隙間時間は基本的にポケモンをプレイ。
ゲットしてないポケモンを探し、普段の行動範囲を超えて行動。
通勤途中はもちろんのこと、深夜に近所を徘徊することもある。
ネットにある攻略情報は一通り目を通す。
普通 とりあえずダウンロードして、通勤途中など時間があるときにプレイ。
あくまで元々の行動範囲を中心に行動し、ポケモンのために移動はあまりしない。
攻略法などはあまり調べず、周りの人に軽く聞くぐらい。
非プレイヤー 興味なし とりあえずダウンロードしたけどプレイしてない、あるいは、ダウンロードもしていない。
ポケモン嫌い ポケモンをプレイしている人が邪魔だし、理解できない。

 

カテゴリー(マーケティング的にいうとセグメント)はいろいろ分けられると思いますが、一つの例としてイメージしてみてください。(さらに細分化も可能ですが、あまり細かくしても意味はないかと思います)

ここでのポイントは、非プレイヤーまで考えておくと、できることの幅が広がる可能性があることです。

 

自社にマッチした、もしくは集客したいカテゴリーを考える

プレイヤーをカテゴリーに分けてみたら、次はどこをターゲットとして狙うのかを考える必要があります。

自社のサービスや商品にマッチしたり、既存のお客さんとなじむカテゴリーがあれば、集客した後にちゃんとした顧客になってくれる可能性が高くなりますが、そうでなければ頑張って集めても意味がないし、場合によっては既存顧客が離れてしまうマイナスの影響を及ぼす可能性すらあります。

一番人数が多いのは、「普通」「興味なし」カテゴリーですが、そもそもそれほど興味がない人たちを何らかの手段で集客するというのはなかなか難しそうです。

ここでもう少しカテゴリーの顧客像を深堀しましょう。

表でまとめるとこんなイメージです。

大カテゴリ 中カテゴリ キーワード
プレイヤー 超ヘビー 【ゲーム好き】【比較的時間に余裕がある】
【ポケモン世代】【流行りもの好き】
ヘビー
普通 【ゲームに抵抗はない】
【新しいものは手間のかからない範囲で試してみる】
【周りに置いて行かれるのは嫌い】
非プレイヤー 興味なし 【ゲームに抵抗ある】
【周りと同じが好きではない】
【忙しい】
ポケモン嫌い 【ゲームが嫌い】【いい大人はゲームなどやるべきでない】
【流行が嫌い】
【ポケモンの流行に直接的な不利益を被っている】

 

時間をかけて考えたわけではないので、網羅性はありませんが、こんなところまで考えると、自社のサービスなどに興味を持ってもらえそうか、集客したい人々なのかなどがある程度は判断できると思います。

もし自社の顧客像がある程度はっきりしていて、価値観の軸や年齢・性別などの属性などがわかっているのであれば、その軸で〇×を付けてもよいかもしれません。

 

集客したいカテゴリーごとに「ニーズ」を考える

狙いたいカテゴリーが決まったら、ポケモンGOというツールを使って、どんな手段が使えそうかを検討していきます。

そのためには、まずはそれぞれのカテゴリのニーズを理解する必要があります。

カテゴリーごとにニーズを表でまとめてみました。

大カテゴリ 中カテゴリ ニーズ
プレイヤー 超ヘビー まだ誰もゲットしていないポケモンをゲットしたい。
レベルを誰よりも先に上げたい。
誰よりも先にポケモンをコンプリートしたい。
ポケモンを育ててめっちゃ強くしたい。
スマホの電池の減りをどうにかしたい。
ヘビー 自分周辺の中では一番ポケモンをゲットしていたり、レベルを上げたい。
ポケモンをコンプリートしたい。
スマホの電池の減りをどうにかしたい。
普通 安全にプレイしたい。
どこに行けばポケモンを無理なくゲットできるかの情報を知りたい。
スマホの電池の減りをどうにかしたい。
非プレイヤー 興味なし プレイヤー達が自分の迷惑にならないプレイをして欲しい。
ポケモン嫌い ポケモンがなくなって欲しい。
自分のポケモンに対するマイナスの感情を知ってほしい、共感して欲しい。

これまたざっくり思いつくままにまとめてみましたが、こういったニーズからそのニーズを満たすような集客手段を考えます。

 

「ニーズを満たす手段」を考える

ニーズを満たす手段をまともに考えると、自社で本来扱うべきではない商品やサービスを直接提供するといった別のビジネスに手を出すことになりかねませんので、あくまで集客という手段であることを忘れずに考えていきます。

例えば、【まだ誰もゲットしていないポケモンをゲットしたい】であれば、一番わかりやすいのは、【自社独自のポケモンを提供する】といった内容です。

これは、Niantic社がそういったサービスを提供することが前提にはなりますが、その会社や店舗でしか手にできないポケモンが用意できれば、集客はしやすいでしょう。

ただし、ポケモンがポケモンGOのために、その企業のために用意されてしまう場合、乱立すると相対的なポケモンの魅力が下がりますので、多くの企業が実行できる手段にはならなそうです。

Niantic社もそのようなサービスを提供することは実際にはないかあるいは一部の大手企業との提携のみに提供されるサービスとなるのではないかと考えられます。

ちなみに、ポケモンGOのベースとなった「Ingress」では、キャラクターは出てきませんので直接比較はできませんが、特定の企業の名前を冠したアイテムなどが提供されています。

参考画像)Ingressのアイテムはこんな感じ(企業の提供するサービスに近いイメージのアイテムが選ばれている感じがあります)
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ポケモンGOでもそれに近いようなことが実施されるでしょう。

特別なアイテムというよりは、通常のアイテムと効果は同じだけと、広告として近くの「ポケストップ」で店名や企業名などを冠したアイテムを配布できるとかになると、中小企業や店舗レベルでのマーケティングに使えそうです。

 

すぐに実施できて効果が高そうなのは電源系と情報提供系

すでにモバイルバッテリーがバカ売れしているようですが、これは、ポケモンGOのプレイヤーに共通のニーズである【スマホの電池の減りをどうにかしたい】を満たす手段であるからだと考えられます。(さらに言えば、ポケモンとは関係なく普段の生活でもあったら便利といえるものです)

店舗を展開しているような企業であれば、例えば「店舗で何か買ってくれたらモバイルバッテリーの充電を無料で実施」とか「モバイルバッテリー無料で貸し出し」などが面白いかもしれません。

店舗ではコンセントがある席などは限られますし、充電のために店舗に長時間滞在されるのも提供するサービスなどによっては困ってしまう可能性もあります。

またプレイヤーもポケモンを探しに移動できない状態は、望ましくありません。

モバイルバッテリーを預かるか貸し出せば、その間はプレイヤーにはポケモン狩りを近所で行え、店舗などを長く占有されることもありませんので、お店へのマイナスも減らせそうです。

ただし、お客様の持ち物を預かったり、貸し出すとそのオペレーションの手間が増えるので、その辺りが無理なく行えればといったところでしょうか。

無料充電であれば、携帯ショップにあるような、顧客が自分でロックできるタイプの充電ステーションのようなものが設置できれば一番手間がかからないでしょう。

また、お手軽なのは、【レア・自分がゲットしていないポケモンをゲットしたい】といったニーズを満たせる情報提供系です。

自社や自店の周辺でゲットできる、ややレア~レアなポケモンなどが見つかる場所があれば、その場所を店舗に来た人に教える、メルマガなどやっていればその情報を加えて配信するなどは、簡単に実施できます。

前編で少しかいたポケモンの巣は、どうやら1週間周期で入れ替わるという話になっているようですので、このあたりの情報を確認して、情報配信するというのはありだと思います。

普通レベルのユーザでも、ポケモンゲットがてら、久々にお店に顔を出してみるかといったちょっと背中を押されることにはなるかもしれません。

ただし、自社の顧客像が「ポケモン嫌い」に当たる場合は、このような施策を実施すると、顧客離れを引き起す可能性がありますので、注意しましょう。

 

企業や店舗単体よりは、地域や商店街などでの集客が吉?

すでにいくつかポケモンGOを使った事例なども出始めています。

・鳥取砂丘は解放区!! 鳥取県、ポケモン人気で知事陣頭に「誘客大作戦」(産経新聞記事)
http://www.sankei.com/west/news/160731/wst1607310027-n1.html

・ポケモン「めっちゃいる!」 大阪の千林商店街、有料アイテムで集客【ポケモンGO】
http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/30/pokemon-go-osaka_n_11282764.html

企業や店舗単体では大きな取組が難しいため、安全に遊べる地域、人をとにかく集めることに意味がある商店街などでは、何らかの取り組みを行うのはありだと思います。

 

他にもいろいろ考えられる

その他に考えられる施策としては、
・自店が「ジム」「ポケストップ」に指定されていれば、とりあえず既存顧客に案内する
・「ポケストップ」であれば「ルアーモジュール」でポケモンが常に(あるいは普段集客が悪い時間を狙って)集まる状態を作ってSNSで告知
・「ジム」であれば、ジム戦で勝利して自分のポケモンを配置できたら割引
・自店が「ジム」「ポケストップ」でもなければ、ポケモンの名前を自社名などにして、ジムに配置しゲリラ的な広告として使う
・ポケモンプレイヤーへの割引を実施(逆にポケモン非プレイヤー割引を実施もあり)
・社員が積極的にポケモン攻略情報などを発信し、ポケモンプレイヤーに共感を感じてもらう
・とりあえずブログなどでポケモンGOに関する意見を書いてみる
などなど、いくらでも考えられそうです。(ゲームをしていない人にはわかりづらくてすみません)

個人的には、巨大迷路とポケモンGOがコラボして、時間内にゴールしたらレアポケモンゲットとか実施できたらリアルRPGぽくて良い気がします。

 

流行りものを活用するにはスピードが命

ここまでいろいろ勝手な考えを書いてみましたが、多くの人が感じていたり、その考えを述べていますが、このポケモンフィーバーは長くは続かないでしょう。

たとえ最初は超ヘビーなプレイヤーだったとしても、徐々に超ヘビー→ヘビー→普通→興味なしという変遷を減る可能性が高いと考えられます。

ですからこういった流行りものを軸に何か仕掛ける場合は、話題になっているうちに素早く対応し、時期を見極めて素早く撤退することが重要です。

波に乗り遅れると、かなりの「いまさら感」が出て残念な企業のレッテルを張られてしまうかもしれません。

逆に一番最初に手を打てば、ニュースなどで取り上げられ、とりあえず認知向上などには寄与することになるでしょう。

一番無難なのは、流行りものには手を出さないという結論にはなってしまいますが、個人的にはこういったお祭り騒ぎは嫌いではないので、とりあえずのっかってみて、認知向上を図ったり、新規顧客の獲得を目指したり、既存顧客に思い出してもらうきっかけにしてみるのも面白いと思います。

 

必要なのは流行にのることでなく、流行にも乗れるマーケティングの基礎体力

いろいろ考えた内容を書いてきましたが、ここまでのお話は別にポケモンのみに限った話ではなく、通常マーケティングをきちんと行おうと思っていたら、実施しておくべき内容だったりします。

先ほど流行りものは、スピードが命という話をしましたが、普段から自社の顧客像などが仮説だとしても見えていれば、ポケモンGOをマーケティングに使うべきか、使うとしたらどんな内容かというのは、すんなり出てくるはずです。

今後もポケモンGOに限らず、いろいろな流行やマーケティングの手段などが出てくるでしょう。

そういった際に問われるのは、マーケティングの基礎体力や姿勢です。

普段から自社の顧客像や顧客の趣味・嗜好、価値観などを考えておくことをオススメします。

最後は割とありきたりな結論に落ち着いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか?

 

今後のポケモンGOはどうなる?

最後に今後のポケモンGOについて考えてみましょう。

先行リリースされた米国ではすでに飽きが出始めているという話も出ています。

今後のポケモンGOが「Ingress」と同じように一部の限られたユーザに楽しまれるゲームとなるか、リリース当初ではないにしても、「普通」ユーザに近い人々をつなぎとめることができるかは、ゲームとしての機能追加にかかっているといえるでしょう。

元々のゲームとしてのポケモンに備わっていたポケモンの交換などはいずれ実装されるという噂もあるようです。

また、飽きずに使われるには現時点ではほとんどないに等しいストーリー性も必要になってくるでしょう。

さらに、SNSやチャット機能のようなものも追加される可能性もあります。

ゲーム性を追求するならARを使わないゲームアプリとのコラボ(ポケモンGOで捕まえたポケモンをゲームの中で使用できるとか)などもあるかもしれません。

Niantic社としては、同じインフラを使って、横展開として「ドラクエGO」のようなことを仕掛けてくるかもしれません。

いずれにしてもNiantic社および任天堂(株式会社ポケモン)がどこを目指して、どんな手を打ってくるのかが今から楽しみです。

ではでは。

この記事を書いた人

岡安裕一